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ベネルクス

 ■統一標章法

1983年11月10日及び1992年12月2日改正
1996年1月1日発効

第I章 個別標章
第1条
ある企業の商品又はサービスを識別するために使用される呼称,図形,印刷物,シール,文字,数字,商品の形状又はその外装及びその他の記号は,個別標章とみなされる。
ただし,商品の性質そのものにより決定される形状,商品の実際の価値に影響を及ぼす形状又は工業的効果をもたらす形状は,標章とみなすことができない。
第2条
一般法の規定を害することなく,氏姓は標章として使用することができる。
第3条
(1) 産業財産の保護に関するパリ条約又は標章の国際登録に関するマドリッド協定に規定する優先権を害することなく,標章に関する排他的権利は,ベネルクス領域内で最初になされた出願(ベネルクス出願)によって取得されるか,又は産業財産の保護に関する国際事務局に対する登録(国際出願)により生じる。
(2) 出願の優先権の順位の決定にあたっては,出願の際に存在し,かつ,訴訟の際に維持される権利について次の点に考慮しなければならない。
(a) 同一の商品について出願された同一の標章
(b) 公衆が標章を連想する虞がある場合は,同一又は類似の商品について出願された同一又は類似の標章
(c) 正当な理由のない後の標章の使用が先の標章の識別性又は名声を不正に利用し又は害するものである場合は,類似しない商品について出願された類似の標章であって,ベネルクス領域内で名声を得ているもの
第4条
第6条の2,第6条の3及び第14条に定める制限内において,標章に関する如何なる権利も,次の出願により取得されることはない。
(1) その使用の如何にかかわらず,ベネルクス諸国のうちの1国の道徳又は公の政策に反する標章又はパリ条約第6条の3の規定により拒絶又は無効にされるべき標章の出願
(2) 標章の使用が公衆を欺瞞する虞がある商品又はサービスについての出願
(3) 類似の商品について出願された団体標章と類似する標章であって,当該出願前3年以内にその権利が消滅しているものの出願
(4) 類似の商品又はサービスについて第三者が出願した個別標章と類似する標章であって,当該出願前2年以内にその権利が登録の存続期間の満了により消滅しているものの出願。ただし,第三者が同意した場合又は第5条(2)(a)に規定するようにその使用がされていない場合は,この限りでない。
(5) パリ条約第6条の2にいう周知標章であって,同意を得ていない第三者が所有するものと混同を生じる虞のあるものの出願
(6) 悪意で行われた出願。特に,次のものを含む。
(a) ベネルクス領域内において第三者が3年以内に類似の商品又はサービスについて類似の標章を善意で,かつ,普通の方法で使用していることを知っている者又は正当な理由なしにそのことを知らない者であって,その第三者の同意を得ていないものによって行われた出願
(b) ベネルクス領域外において第三者が3年以内に類似の商品又はサービスについて類似の標章を善意で,かつ,普通の方法で使用していることをその第三者との直接の関係により知っている者によって行われた出願。ただし,その第三者が同意している場合又はその出願をした者がベネルクス領域内においてその標章の使用を開始した後にのみその事実を知ったものである場合は,この限りでない。
第5条
(1) 標章に関する権利は,次の場合に消滅する。
(a) ベネルクス登録の自発的な取消又は存続期間の満了の場合
(b) 国際登録の取消若しくは存続期間の満了,ベネルクス領域内における保護の放棄,又は標章が本国において法的保護を享有しなくなった場合におけるマドリッド協定第6条の規定による場合
(2) 標章に関する権利は,第14条[C]に定める期間内に次の範囲内について消滅する旨宣言される。
(a) 標章が登録されている商品について継続して5年間正当な理由なくベネルクス領域内においてその標章を普通に使用していない範囲。訴訟においては,裁判所は使用についての立証責任の全部又は一部分が標章の所有者にある旨決定することができる。
(b) 所有者の作為又は不作為によって標章が商品の普通名称になっている範囲
(c) 標章が登録されている商品について標章が使用された結果,特に商品の性質,品質又は地理的原産地について公衆を誤認させる虞がある範囲
(3) (2)(a)の規定の適用上,標章の使用とは次のことを意味する。
(a) 標章が登録された際の形態における標章の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその標章を使用すること
(b) 専ら輸出のためにのみ商品又はその包装に標章を付すこと
(c) 標章の所有者の同意を得た他人がその標章を使用すること
第6条
[A] (1) 標章のベネルクス出願は,国内官庁又はベネルクス商標庁に対し,施行規則に定める方式に従い,かつ,手数料を納付して行わなければならない。その出願の受理を委託された主管庁は,提出された書類が出願日を認定する要件を満たしているか否かを確かめ,かつ,出願日を決定する。出願人には遅滞なく書面により出願日を通知し,又は適切な場合は,出願日を付与しない理由を通知しなければならない。
(2) 出願が施行規則の他の規定の要件を満たしていない場合は,その出願を受理した主管庁は,満たされていない要件を書面により遅滞なく出願人に通知し,かつ,施行規則に定める期間内に応答する機会を出願人に与えなければならない。
(3) 定められた期間内に施行規則の要件が満たされない場合は,出願は無効となる。
(4) 国内官庁は,ベネルクス出願が所定の要件を満たしていることを確認したときは,その出願をベネルクス商標庁に送付しなければならない。
[B] 標章出願の許容性は,出願人の選択により,次の手続の何れか1つを履行することを条件とする。
(a) 出願前3年以内に,施行規則に定める要件に従い,先行調査が行われたこと又は請求されたことを証明するベネルクス商標庁の証明書の作成
(b) 出願と同時に,出願の受理を委任された主管庁を介して審査請求を提出すること
[C] 第6条の2の規定の適用に拘わらず,出願に係る標章は,[B]にいう先行調査の結果を受理した後であって施行規則に定める期間内に,出願人がその出願を維持する意思を確認した場合にのみ出願人の指定する商品について登録される。登録証は標章の所有者に対して発行される。
[D] パリ条約第4条の規定に基づく優先権の主張は,出願時にするか又は出願後1月以内にベネルクス商標庁に提出する特別の宣言書によりしなければならない。
その主張がなされなかった場合は,その優先権は効力を失う。
第6条の2
(1) ベネルクス商標庁は,次の場合は出願の登録を拒絶する。
(a) 出願に係る標識が,特に,パリ条約第6条の5B(2)に規定する識別性を有していないために,第1条にいう標章を構成しないものである場合
(b) 出願が第4条(1)及び(2)に規定する標章に係るものである場合
(2) 登録の拒絶は,標章を構成する標識全体に係るものとし,また,標章が使用される1又はそれ以上の商品に限定することができる。
(3) ベネルクス商標庁は,登録を全部又は一部分について拒絶する旨を遅滞なく書面により出願人に通知し,その理由を述べ,施行規則に定める期間内に応答する機会を出願人に与えなければならない。
(4) 登録に対するベネルクス商標庁の拒絶理由が解消されない場合は,出願の登録は全部又は一部分について拒絶される。ベネルクス商標庁は,その旨遅滞なく書面により出願人に通知し,拒絶の理由を述べ,第6条の3に規定するその決定に対する救済手段を示唆しなければならない。
(5) 商品の全部又は一部分についての出願の登録の拒絶は,出願の全部又は一部分無効を意味する。その無効は,使用されることなく第6条の3に規定する上訴期間が満了するまで,又は登録命令を求める請求が確定的に拒絶されるまで,効力を生じない。
第6条の3
出願人は,第6条の2(4)に規定する通知後2月以内に,ブラッセル上訴裁判所,ヘーグ裁判所又はルクセンブルグ上訴裁判所に対し,出願の登録命令を求める請求を提出することができる。地域管轄権を有する裁判所は,出願人の住所,その代理人の住所又は出願に表示された宛先によって決定される。
第7条
[A] 国際出願は,マドリッド協定及び1989年6月27日のマドリッド協定に関する議定書の規定に従って行われる。マドリッド協定に関する議定書第8条(7)(a)に定める手数料は,施行規則で定める。
[B] 国際出願は,職権による先行調査の対象とする。
第8条
(1) ベネルクス商標庁は,ベネルクス領域に保護の拡張が請求されている国際出願を登録する。第6条の2(1)及び(2)の規定をこの出願に適用する。
(2) ベネルクス商標庁は,登録を拒絶する旨を遅滞なく書面により国際事務局に通知し,標章の保護の暫定的な全部又は一部分拒絶の告知において拒絶理由を述べ,かつ,施行規則の定に従ってそれに応答する機会を出願人に与える。第6条の2(4)の規定を適用する。
(3) 第6条の3の規定は,裁判所の地域管轄権が代理人の住所により又は宛先により決定されるという条件で適用される。
(4) ベネルクス商標庁は,もはや上訴することができない決定を遅滞なく書面により国際事務局に通知し,かつ,その理由を述べる。
第9条
ベネルクス商標庁は,標章の出願人又は第三者の請求及びその費用の納付により,ベネルクス登録簿に登録されている先の標章の審査を行う。
ベネルクス商標庁は,また,ベネルクス登録簿に登録されている先の標章について第6条[B]及び第7条[B]に規定する審査を行う。
ベネルクス商標庁は,請求をした者に対し何らの意見も判断も記載しないでその審査の結果を送付する。
登録された標章は,審査のために,ベネルクス商標庁が定める体系に従い分類される。
第10条
ベネルクス出願の登録は,出願日から起算して10年間存続する。
標章を構成する標識は,登録の存続期間中もまたその更新の際にも変更することができない。
登録は,申請により,施行規則に定める方式に従い,かつ,施行規則に定める手数料の納付に基づき,更に10年間更新される。
更新は,登録の存続期間の満了前6月以内に申請し,かつ,手数料を納付しなければならない。更新は,施行規則に定める追加料金を同時に納付することを条件として,登録の存続期間の満了後6月以内に申請し,かつ,手数料を納付することができる。更新は,登録の存続期間の満了日から効力を生じる。
ベネルクス商標庁は,登録の存続期間の満了前6月に,標章の所有者に対し存続期間の満了日について書面により注意を喚起する。
注意喚起の通知は,ベネルクス商標庁に知らされている標章所有者の最新の住所に宛てて送付される。その通知を発送しなかったこと又は受領しなかったことを理由として,当事者が所定の期間内に更新をする義務を免れることはできない。その通知手続の懈怠については,裁判所に対してもベネルクス商標庁に対しても不服を申し立てることができない。
ベネルクス商標庁は,更新を登録する。
第11条
[A] 標章に関する排他的権利は,営業の全部又は一部分の移転とは無関係に,当該標章が登録されている商品又はサービスの全部又は一部分について移転又はライセンスをすることができる。
次に掲げる場合は,無効とする。
(1) 生存者間の譲渡が書面により行われていない場合
(2) 譲渡又はその他の移転がベネルクス全域に対して行われていない場合
[B] 標章の所有者は,ライセンスの期間,標章を使用することができる登録に包含される形態,ライセンスが付与される商品,標章を付すことができる領域又はライセンスにより市場に出される商品の品質に関するライセンス許諾契約の規定に違反した使用権者に対して標章の排他的権利を主張することができる。
[C] 譲渡,その他の移転又はライセンスは,その移転又はライセンスを証明する書面の抄本又はその当事者が署名したその事実についての宣言書が,施行規則に定める方式に従い,かつ,施行規則に定める手数料の納付に基づき,登録簿に登録された後にのみ第三者に対抗することができる。前文に定める規定は,担保及び差押に適用する。
[D] 使用権者は,自己が直接被った損害の賠償を求めるために又は被告が得た利益に比例した分け前を得るために,標章の所有者が提起した第13条[A](3)及び(4)の規定に基づく訴訟手続に参加することができる。
使用権者は,そのために所有者の許可を得ることなく前記訴訟手続を独立して提起することはできない。
第12条
[A] 提起される訴訟の性質に拘わらず,何人も,第1条に規定する標章とみなされる標識について正式に出願していない場合及び該当する場合は更新の登録をしていないときは,その標識について裁判によって保護を主張することはできない。
裁判所は,職権で却下の宣告をすることができる。ただし,その訴訟手続中に出願又は更新が行われた場合は,この限りでない。
出願前に生じた事実については,損害賠償額の算定にあたっては考慮することができない。
[B] 本法の規定は,第1条に規定する標章とみなされない標識について一般法の規定がその標識の違法な使用に対しなされる異議を認める範囲において,同法の規定に基づくその標識の使用者の権利を妨げるものではない。
第13条
[A] (1) 民事責任事件における一般法の適用を害することなく,標章の所有者は,排他的権利によって次のことを差し止めることができる。
(a) 標章が登録されている商品についてその標章を取引上使用すること
(b) 標識及び標章を公衆が連想する虞がある場合は,標章が登録されている商品又は類似の商品について標章又は類似の標識を取引上使用すること
(c) ベネルクス領域内において名声を得ている標章又はそれに類似する標識の使用が,その標章の識別性又は名声を不正に利用し又は害するものである場合は,その標章が登録されている商品と類似しない商品についてその標章又はそれに類似する標識を正当な理由なく取引上使用すること
(d) ある標識の使用がある標章の識別性又は名声を不正に利用し又は害するものである場合は,商品の識別以外の方法でその標章又はそれに類似する標識を正当な理由なく取引上使用すること
(2) (1)の適用上,標章又はそれに類似する標識の使用とは,特に,次のことをいう。
(a) 商品又はその包装に標識を付すること
(b) 当該標識の下に当該目的をもって商品を申し出,市場に出し又は貯蔵すること
(c) 当該標識の下に商品を輸入又は輸出すること
(d) 営業書類及び広告に標識を使用すること
(3) (1)に定める要件に従うことを条件として,所有者は,その権利に基づき,(1)に規定する使用によって被った損害の賠償を請求することができる。
(4) 損害訴訟に加えて又はそれに代えて,標章の所有者は,関連の計算書を提出すると共に,当該使用によって生じた利得の返還を求める訴訟を提起することができる。裁判所は,当該使用が悪意で行われたものでないと又は事件が判決を必要としない情況にあると判断する場合は,請求を拒絶する。
(5) 標章の所有者は,第11条[D]の規定に基づき使用権者に付与された権利を害することなく,使用権者に代わって損害訴訟又は利得返還訴訟を提起することができる。
(6) 排他的権利には,他人による次の取引上の使用を差し止める権利は含まれない。ただし,その使用が工業上又は商業上の公正な慣習に従い行われたものである場合に限る。
(a) その者の自己の氏名及び住所
(b) 商品の種類,品質,数量,用途,価格,地理的原産地,生産時期又はその他の識別性に関する表示
(c) 商品の用途,特に,付属品又は部品を表示するために必要な場合のその標章
(7) 標章の排他的権利には,その権利がベネルクス諸国のうちの1国の法規に基づき認められている場合であって,それが認められている領域の範囲内において,地域的範囲の先行権利からその保護が生じる類似の標識の取引上の使用を差し止める権利は含まれない。
(8) 排他的権利には,所有者によって又はその同意を得て当該標章の下に欧州経済共同体の市場に出された商品についての標章の使用を差し止める権利は含まれない。ただし,所有者が商品を更に市場に出すことに反対する正当な理由がある場合,特に商品が市場に出された後に商品の状態が変更され又は減損されている場合は,この限りでない。
[B] 商品又はサービスの類似性の判断においては,標章の登録の際に採用した行政上の分類を判断基準として使用してはならない。
[C] ベネルクス領域の国又は地域の言語1つとして創作された標章の排他的権利は,かかる言語を他国の言語に翻訳したものにも及ぶものとする。
同領域内の他国の言語へ翻訳から生じる類似の判断は,裁判所の権限として付与されるものとする。
第13条の2
(1) 標章の所有者は,自己の権利を侵害する動産商品若しくはそれを製造するために用いられた商品の所有権を主張する権原又はそれを破棄し若しくは使用できないようにすることを要求する権原を有する。その主張は,標章の権利の侵害によって生じたと推定される金額についてもすることができる。侵害が悪意でなされたものでない場合は,請求は拒絶される。
(2) 手続の留保,裁判所の判決の執行及び認証された裁決に関する国内法の規定を適用する。
(3) 裁判所は,裁判所の決定する補償金を原告が支払うことを条件として引渡をするよう命じることができる。
(4) 使用権者は,その目的が自己に譲渡された権原を保護することにある場合は,その目的のために標章の所有者の許可を得ることを条件として,(1)に規定する権原を行使することができる。
(5) 標章の所有者の請求により,裁判所は,権利の侵害者に対し,標章を侵害する物の出所に関して所有者の自由になるすべての情報を所有者に提供し,かつ,関連するすべてのデータを通知するよう命じることができる。
第14条
[A] 公訴官を含むすべての利害関係人は,次の出願の無効の訴を提起することができる。
(1) (a) 第1条の規定により標章とみなされない標識,特に,パリ条約第6条の5B(2)に規定する識別性を有していないものについての出願
(b)[削除]
(c) 第4条(1)及び(2)により商標権を取得することができない出願
(2) 第4条(3)により商標権を取得することができない出願。ただし,この無効は出願日から5年以内に訴訟を提起した場合に限る。
無効の訴訟が公訴官によって提起される場合は,ブラッセル,ヘーグ及びルクセンブルグの裁判所が上記事件の専属管轄権を有する。公訴官による訴訟の提起は,同じ理由により提起された他の訴訟手続を中止する。
[B] 先登録の所有者又は第4条(4),(5)及び(6)に規定する第三者が訴訟手続の当事者となる場合に限り,利害関係人は次の登録の無効の訴訟を提起することができる。
(1) 第3条(2)の規定に従い,優先順位が類似標章の登録の後になるものについての登録
(2) 第4条(4),(5)及び(6)により商標権を取得することができない出願についての登録。ただし,第4条(4)に基づく無効は,先登録の存続期間の満了の日から3年以内に訴訟を提起しなければならないのに対し,第4条(5)及び(6)に基づく無効は,出願日から5年以内に訴訟を提起しなければならない。
[C] (1) すべての利害関係人は,第5条(2)に規定する場合は標章の権利の消滅を主張することができる。第5条(2)(a)に含まれる規定に基づく標章の権利の消滅は,5年の期間の満了から取消請求が提出される間に標章の通常使用が開始され又は再開された場合は,もはや主張することができない。ただし,取消請求の提出前3月以内に行われる使用の開始又は再開は,取消請求が提出されることを所有者が知った後にのみ使用の開始又は再開が行われた場合は,考慮されない。
(2) (1)に基づき消滅をもはや主張することができない標章の権利の所有者は,先の標章の権利が第5条(2)(a)に基づき消滅していたことを宣言した期間に出願がなされた場合は,[B]の規定に従いその出願の無効を主張することができないし,第13条[A](1)(a),(b)及び(c)に基づき出願された標章の使用を差し止めることもできない。
第14条の2
(1) 標章の排他的権利の所有者は,後の標章の使用を知りながら継続して5年間その使用を黙認していた場合は,もはや第14条[B](1)に基づき自己の先の権利を根拠として後願の無効を主張することができず,後の標章が使用されている商品について第13条[A](1)(a),(b)及び(c)に基づき後の標章の使用を差し止めることもできない。ただし,後の標章の出願が悪意で行われた場合は,この限りでない。
(2) (1)に規定する後の標章の使用の黙認は,後の標章の所有者に先の標章の使用を差し止める権利を与えるものではない。
第15条
[A] ベネルクス出願について効力を有する登録の所有者は,いつでも自己の登録の取消を請求することができる。ただし,ライセンスが登録されている場合は,標章の登録又はライセンスの取消はその登録の所有者及び使用権者が共同してのみ請求することができる。標章の登録の取消に関する本項の規定は,担保又は差押に適用する。
[B] 取消は,ベネルクス全域に対して効力を有する。
[C] 国際出願によって生じた保護の−ベネルクス領域の一部分に限定された−放棄は,その所有者がそれと異なる宣言をしている場合であっても,ベネルクス全域に対してその効力を有する。
第16条
出願の無効の宣言,標章に関する権利が消滅した旨の宣言及び登録の自発的取消は,標章を構成する標識の全体に関するものでなければならない。
無効又は権利の消滅の宣言は,その無効又は権利の消滅の理由が標章の登録されている商品又はサービスの一部分のみに関するものである場合は,その一部分の商品又はサービスに限定しなければならない。
自発的取消は,標章が登録されている商品又はサービスの一部分に限定して行うことができる。
第17条
[A] ベネルクス商標庁は,前各条の規定によって与えられた権限のほか,次の任務を委任される。
(1) 所有者の請求,産業財産の保護に関する国際事務局からの通知又は裁判所の判決により登録を変更すること及び必要な場合はその変更を国際事務局に通知すること
(2) ベネルクス出願の登録及び施行規則に定めるその他のすべての表示を含むオランダ語及びフランス語による月刊刊行物を発行すること
(3) 利害関係人の請求により登録の写を交付すること
[B] [A]に規定する業務に対し徴収される手数料の額並びに月刊刊行物及び写の価格は,規則をもって定める。
第18条
ベネルクス諸国の国民並びにパリ条約により形成される同盟の構成国でない国の国民であってベネルクス領域内に住所又は現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有するものは,本法により,ベネルクス全域においてパリ条約及びマドリッド協定の規定の恩恵を主張することができる。
第II章 団体標章
第19条
出願の時に団体標章として指定され,かつ,異なる企業から生じる商品又はサービスであってその所有者の監督の下にその標章を付したものの1若しくはそれ以上の共通の特徴を識別するために使用されるすべての標識は,団体標章とみなされる。
団体標章の所有者は,自己の企業又は自己が管理若しくは監督して直接若しくは間接に関与する企業から生じる商品若しくはサービスについてその標章の使用をすることができない。
出願においてその旨指定されたすべての標識は,それが商品の地理的原産地を表示するために取引上使用される場合は,団体標章とみなされる。そのような標章は,第三者が工業上若しくは商業上の公正な慣習に従いその標章を取引上使用することを差し止める権限をその所有者に与えるものではなく,特に,そのような地理的名称を使用する権限を有する第三者に対抗することができない。
第20条
別段の定がある場合を除き,個別標章及び団体標章は同一の規定の適用を受ける。
第21条
団体標章に関する排他的権利は,その標章の出願と同時にその使用及び管理に関する規則を提出した場合にのみ,取得することができる。
ただし,国際出願の場合は,出願人は,マドリッド協定第3条(4)に規定する国際登録の通知の日から6月間に前記規則を提出することができる。
第22条
団体標章の使用及び管理に関する規則には,その標章が保証しようとする商品又はサービスの共通の特徴を規定しなければならない。
また,同規則には,その特徴の適正かつ十分な管理を行う方法及びそれに伴う適当な制裁をも定めなければならない。
第23条
第4条(3)は,類似の団体標章の登録の前所有者又はその承継人による団体標章の出願には適用しない。
第24条
第6条,第6条の2及び第8条の規定の適用を害することなく,ベネルクス商標庁は,第21条の規定に従い団体標章の使用及び管理に関する規則を提出しない場合は,その団体標章についてのベネルクス出願を登録してはならない。
第25条
団体標章の所有者は,その団体標章の使用及び管理に関する規則の改正のすべてをベネルクス商標庁に通知しなければならない。その通知はベネルクス商標庁によって登録される。
前記改正は,前段落に規定する通知前には効力を生じない。
第26条
団体標章の所有者は,その団体標章の保護に関する訴訟を提起する権利を専有する。
ただし,使用及び管理に関する規則により,その団体標章の使用が認められている者に対し,所有者と共同して訴訟を提起し,すべての訴訟に関係し又は所有者が提起した若しくは提起された訴訟に参加する権利を与えることができる。
また,使用及び管理に関する規則は,所有者が単独で標章の使用者の個別の利益を主張することができ,かつ,損害賠償請求においては1又はそれ以上の使用者が被った特別な損害を含めることができる旨を定めることもできる。
第27条
[A] 第14条の規定を害することなく,公訴官を含むすべての利害関係人は,団体標章の所有者が第19条第2段落に規定する情況下でその団体標章を使用し,使用及び管理に関する規則の規定に違反する使用を許容し又はそのような使用を黙認する場合は,その団体標章に関する権利の消滅を主張する訴訟を提起することができる。
失権の訴訟が公訴官によって提起された場合は,ブラッセル,ヘーグ及びルクセンブルグの裁判所が専属管轄権を有する。
公訴官による訴訟の提起は,同一の理由に基づき提起された他の訴訟を中止する。
[B] 公訴官は,使用及び管理に関する規則が公の政策に反し又は第22条の規定に違反しているときはいつでも,団体標章の出願の無効の訴訟を提起することができる。公訴官は,また,使用及び管理に関する規則の改正が公の政策若しくは第22条の規定に違反している場合又はその改正が規則により公衆に与えられた保証を弱化することになる場合は,その改正の無効の訴訟を提起することもできる。
ブラッセル,ヘーグ及びルクセンブルグの裁判所は,前記訴訟手続の専属管轄権を有する。同裁判所は,無効の宣言をされた出願の登録又は規則の改正の取消を職権で命じる。
第28条
消滅し,無効の宣言がされ又は取消され並びに更新がされず,かつ,第23条に規定する回復がされなかった団体標章は,その消滅,無効,取消の登録の日又は登録の更新がされないで存続期間が満了した日から3年間は,決して使用してはならない。ただし,先の類似する個別標章に関する権利を行使できる者による使用は,この限りでない。
第III章 経過規定
第29条
本法の施行日前にベネルクス諸国のうちの1国において,その国内法に基づき取得された個別標章及び団体標章に関する権利であって,本法の施行日に現存するものは,第30条に規定する条件に従うことを条件として維持される。本法の規定は,その施行日からそれらの権利に適用する。
排他的権利は,ある企業の商品又はサービスを識別するために使用する標識であって,第1条及び第2条の規定が適用された場合に標章を構成することとなるものの最初の使用によって取得されていたものとみなされる。もっとも,前記のように取得されていたとみなされる排他的権利は,本法の施行日前にその標識を使用していた者に対抗することができない。ただし,その主張する使用が5年間継続して不使用となっている場合は,この限りでない。
第30条
標章に対して取得された権利は,本法の施行日から1年を経過した時に,その標章のベネルクス出願が既得権の存在を主張し,かつ,情報の目的のためにその既得権を生じさせた事実の性質及びその日並びに場合によりその標章についてなされた出願及び登録を表示して,提出されていない場合は,本法の施行日に遡って消滅する。このベネルクス出願は,その出願により生じた既得権を害することなく,ベネルクス諸国の1又はそれ以上の国における標章の出願に代わるものとする。ただし,その出願をした者がその既得権が存在しないことを知り又は知らないことについて正当な理由なしに,その既得権を主張した場合は,その出願は悪意で行われたものとみなされる。
本法の施行日に,標章に関する権利がベネルクス領域以外の国を本国とする登録に基づく国際出願から生じている場合は,その権利は,前段落に定める条件にかかわらず,維持される。
更に,団体標章についての既得権は,第1段落に規定するベネルクス出願とともに使用及び管理に関する規則が提出されていない場合は,本法の施行日に遡って消滅する。この場合に関しては,第22条,第24条及び第27条[B]の規定を適用する。
団体標章に関する権利がベネルクス領域以外の国を本国とする登録に基づく国際出願から生じている場合において,その団体標章の所有者が本法の施行日から1年を経過するまでに使用及び管理に関する規則を提出していないときは,その権利は,本法の施行日に遡って消滅する。この場合に関しては,第22条及び第27条[B]の規定を適用する。
第31条
第10条の規定に拘わらず,第30条に規定するベネルクス出願の最初の登録は1年から10年までの存続期間を有する。この存続期間は,既得権が発生した年の年数の第1位の数と同一の第1位の数からなる年におけるベネルクス出願の月及び日に満了する。
この登録の最初の更新は,第10条に規定する期間について,出願時に申請することができる。
第32条
第29条及び第30条の規定に基づき維持される標章に関する排他的権利は,本法の施行日からベネルクス全域に及ぶ。
ただし,次の場合は,この権利はベネルクス諸国のうちのその領域に及ばない。
(a) その権利の拡張が,第三者が取得した権利であって第29条及び第30条の規定に基づき維持されるものの侵害を構成する場合
(b) 第14条[A](1)(a)及び(c)並びに(2),第14条[B](2)並びに第27条[B]に規定する無効理由の存在が明らかになった場合
2人の者がベネルクス諸国のうちの2国において各別に同一の標章についての既得権を有する場合は,その権利の第三国への拡張は,本法施行前に当該国においてその標章を普通の方法で最初に使用した者のために効力を生じる。本法施行の時に,当該国においてその標章の使用がされていない場合は,その拡張は,既得権を先に取得していた者のために効力を生じる。
第33条
標章が,第32条の規定により,ベネルクス諸国の2国又は3国において異なる所有者に属する場合は,それらの国の1国における標章の所有者は,同一の標章を付した他のベネルクスの構成国からの商品又はサービスの輸入を差し止めることができず,またその輸入による損害の賠償を請求することもできない。ただし,他のベネルクスの構成国において標章の所有者又はその同意を得た者がその標章を付した場合であって,双方の所有者の間に当該商品又はサービスの利用に関し経済的連携関係がある場合に限る。
第34条
[A] ベネルクス登録簿は,本法の施行日の翌日から標章の出願に開放される。標章の国内出願は,本法の施行日以降はすることができない。
[B] 第30条に規定するベネルクス出願は,手数料の納付を免除され,かつ,施行規則に定める方式により行わなければならない。この出願の登録には,既得権の主張及びそれに関する表示を記載しなければならない。
[C] ベネルクス領域以外の国を本国とする登録に基づく国際出願であって,本法の施行日に現存するものは,職権により無料でベネルクス登録簿に登録される。ただし,所有者がその登録から生じる保護をベネルクス諸国の全域について放棄した場合は,この限りでない。
第35条
第30条に規定するベネルクス出願は,その現実の日に拘わらず,また,第34条[C]の規定によってベネルクス登録簿に登録された国際出願は,既得権を主張しないで行われたベネルクス出願に関する優先順位の判断については,本法の施行日になされたものとみなされる。
第29条に規定するベネルクスの構成国において取得された権利の優先順位は,その国において本法施行前に適用されていた国内法に従い判断される。
第IV章 一般規定
第36条
本法において,「ベネルクス領域」とは,ベルギー王国,ルクセンブルグ大公国及びオランダ王国の欧州における領域の全体をいう。
第37条
[A] 標章事件に関する裁判管轄権は,契約により他に明示的に規定しない限り,被告の住所又は訴訟が提起されている契約が締結された若しくはその義務が履行され若しくは履行されるべきであった場所によって決定される。標章が出願又は登録された場所は,それだけで裁判管轄権の決定の根拠としてはならない。
前段落に定める基準が裁判管轄権の決定に関し十分でない場合は,原告は,自己の住所地又は居所地を管轄する裁判所に対し訴訟を提起することができ,また,原告がベネルクス領域内に住所も居所も有していない場合は,自己の選択によりブラッセル,ヘーグ又はルクセンブルグの裁判所に対し訴訟を提起することができる。
[B] 裁判所は,[A]の基準を職権で適用し,かつ,その管轄権を明確に確定する。
[C] [A]に規定する基本訴訟が係属している裁判所は,その対象物について管轄権を有していない場合を除き,原告が担保を提供する請求,参加の申請,付随的請求及び反訴を受理して審理する。
[D] ベネルクス3国のうちの1国の裁判所は,提起された係争事件が他の2国のうちの1国の裁判所に既に係属しており又はその裁判所に提起された他の係争事件と関連がある場合は,当事者の1人の請求により,その係争事件を当該裁判所に移送する。この移送は,事件が第1審に係属している場合にのみ請求することができる。移送は,訴訟を提起する宣言によって事件が最初に提起された裁判所に対し行われる。ただし,他の裁判所が当該事件において先に判決−その判決は単に内部的手続に関するものでない−をした場合は,その事件はその裁判所に移送される。
第38条
本法の規定は,パリ条約,マドリッド協定及び標章の使用の禁止を課しているベルギー,ルクセンブルグ又はオランダの国内法の適用を妨げるものでない。
第V章 サービスマーク
一般規定
第39条
第I章,第II章,第IV章,第VI章及び第VII章の規定は,サービスを識別するために使用される標識(以下「サービスマーク」という。)に準用するものとし,サービスと商品は類似することがあるものと解する。
パリ条約第4条に規定する優先権は,サービスマークについても主張することができる。
経過規定
第40条
[A] ベネルクス統一標章法を改正するこの議定書の施行日にベネルクス領域についてサービスマークを使用している者であって,その施行日から1年以内にその標章のベネルクス登録出願をする者は,自己の優先権を決定するために,その施行日に出願をしたものとみなされる。
[B] 本章の規定は,その施行日にベネルクス領域についてサービスマークを使用していることから生じる権利を変更するものではない。
[C] [A]にいうサービスマーク出願については,その出願日が類似の商標の出願日よりも後であるという理由のみによってはその無効の訴訟を提起することができない。
第41条
第40条に規定するベネルクス出願は,実施細則に定める様式に従い,かつ,正規の手数料を納付して行わなければならず,その出願をするに際し出願人は次のこともしなければならない。
−既得権の存在を主張すること
−第42条の適用上サービスマークの最初の使用の年を述べること
ただし,権利が存在しないことを知りながら又は知らないことに正当な理由なしに,出願人がサービスマークについての既得権を主張する場合は,その出願は悪意で行われたものとみなされる。
第42条
第10条の規定に拘わらず,第40条に規定するベネルクス出願の最初の登録は,1年から10年までの有効期間を有する。その期間は,記載された最初の使用が行われた年の年数の最後の数と同一の最後の数からなる年におけるベネルクス出願の月日に応答する月日に満了する。
その登録の最初の更新は,第10条に規定する期間について,出願時に申請することができる。
第43条
ベネルクス登録簿は,第40条に規定する議定書の施行日の翌日にサービスマークの出願に開放される。
第40条に規定するベネルクス出願の登録には,既得権の主張及びサービスマークを最初に使用した年を記載しなければならない。
第VI章 共同体商標に関する規定
第44条
第3条(2)及び第14条[B](1)の規定は,登録が先の共同体商標に基づくものである場合に適用する。
第45条
第3条(2)及び第14条[B](1)の規定は,先順位の根拠とするベネルクス登録又は国際登録が自発的に取り消され又は満了している場合であっても,共同体商標に関する規則に従いベネルクス領域における先順位が有効に主張されている共同体商標に適用する。
第46条
共同体商標に関して先の標章の権利の先順位を主張する場合は,その権利が登録の自発的な取消又は存続期間の満了により既に消滅している場合であっても,その先の権利の無効又は取消を主張することができる。
第47条
ベネルクス商標庁は,共同体商標に関する規則に従い登録された標章をベネルクス登録簿に登録する。
第48条
本法の規定は,共同体商標に関する規則の適用に影響を及ぼすものではない。
第VII章 国際出願に関する規定
第49条
マドリッド協定に基づく国際出願に関する本法の規定は,1989年6月27日のマドリッド協定に関する議定書に基づく国際出願に適用する。

 

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